
賃貸を退去するとき、多くの人が気になるのが「ハウスクリーニング代」です。契約書に「入居者負担」と書かれているケースが多く、相場は物件の広さによって数万円単位で変わります。
実はこの費用、退去前に自分で掃除をしておくことである程度圧縮できます。この記事では、どこまで自分でできるのか、どの順番で・どんな道具でやればいいのかを、実際の現場を見てきた立場から具体的に解説します。
※費用の内訳や交渉の仕方については、別記事「賃貸の原状回復費用を安くする方法」で詳しく解説しています。
あわせて読むと理解が深まります。
自分でやるべきか、業者に任せるべきかの判断基準
すべてを自力でやる必要はありません。まずは下の基準で仕分けしてみてください。
| 状況 | 判断の目安 |
|---|---|
| 退去日まで1週間以上ある | 🟢 自分でやる価値あり |
| 退去日まで2〜3日しかない | 🟡 水回りだけ自分で、残りは業者も検討 |
| 喫煙・ペット飼育していた | 🔴 ニオイ除去は専門機材が必要になりやすく業者向き |
| キッチンの油汚れがひどい(換気扇内部など) | 🔴 分解洗浄が必要な場合は業者向き |
| 通常の生活汚れ(ホコリ・軽い水垢・皮脂汚れ) | 🟢 自分で十分対応可能 |

⚠️ 注意:自分で掃除しても費用が発生することがあります
実際にあったケースとして、退去後にご自身で道具を揃えて丁寧に掃除をしたにもかかわらず、結局管理会社からハウスクリーニング費用を請求されてしまった例があります。
理由の多くは、契約書に「退去時ハウスクリーニング特約」が入っており、実施の有無にかかわらず一定額を請求する契約になっていたためです。
つまり、自分で掃除することが必ずしも費用ゼロにつながるとは限りません。
掃除を始める前に、まず契約書の原状回復・クリーニング特約の欄を確認しておくことが、遠回りに見えて一番確実な節約方法です。特約がある場合、掃除の目的は「費用をゼロにする」ことではなく、「立会い時の印象を良くする」「追加請求の口実を与えない」ことに切り替えて考えるとよいでしょう。
自分でやる場合と業者に依頼した場合のコスト比較
判断の参考として、間取り別のおおよその比較です。
(道具代・業者費用は地域や物件状態によって変動します)
| 間取り | 自分でやる場合の道具代目安 | 業者に依頼した場合の相場 |
|---|---|---|
| 1K・1R | 3,000〜5,000円 | 15,000〜25,000円 |
| 1LDK | 4,000〜6,000円 | 25,000〜35,000円 |
| 2LDK | 5,000〜8,000円 | 35,000〜50,000円 |
道具代は基本セットを揃える初期費用なので、一度揃えれば次回以降の引っ越しでも使い回せます。
前述の通り「特約」がある場合は自分でやっても費用が戻らないことがあるため、この比較表はあくまで特約がないケース、または特約の内容が「実施すれば減額対象になる」タイプのケースを前提にしています。
掃除の正しい順番
順番を間違えると二度手間になります。基本は次の3原則です。
- ⬆️ 上から下へ(照明・棚の上→壁→床の順。逆だと掃除した床にホコリが落ちる)
- ➡️ 奥から手前へ(部屋の奥から玄関に向かって進めることで、掃除後の場所を歩かずに済む)
- 💧 乾いた汚れ→水拭き→洗剤の順(いきなり水や洗剤を使うと汚れが伸びて逆に落ちにくくなる場所がある)
この原則を踏まえた、部屋全体の作業順序は以下の通りです。
- 天井・照明・エアコンフィルターのホコリ取り
- 壁・巾木(壁と床の境目)の拭き掃除
- キッチン
- 浴室・洗面台
- トイレ
- 窓・サッシ
- 床(掃除機→拭き掃除)
- 玄関
場所別:汚れの種類・使う道具・ポイント
| 場所 | 主な汚れ | 使う道具・洗剤 | ポイント |
|---|---|---|---|
| キッチン(コンロ周り・焦げ付き) | 油汚れ・焦げ付き | アルカリ性洗剤(ケミクールなど)、メラミンスポンジ | 焦げ付きは中性洗剤では落ちにくく、アルカリ性洗剤を使うと分解が早い。冷めた状態で洗剤を先になじませてから擦ると落ちやすい |
| 換気扇 | 油の蓄積 | アルカリ性洗剤(ケミクールなど)、つけ置き容器 | 分解できる範囲までにして、無理な分解はしない |
| 浴室 | 水垢・カビ・石鹸カス | クエン酸(水垢用)、カビ取り剤、スポンジ | 水垢は酸性、皮脂汚れはアルカリ性で使い分ける |
| 洗面台(排水周り) | 髪の毛・石鹸カス・ぬめり | パイプクリーナー、歯ブラシ | 排水口の奥まで手が届かず見落とされがちな箇所。立会いでも指摘されやすいので重点的に |
| トイレ | 尿石・黒ずみ | トイレ用洗剤、パイプブラシ | 便器のフチ裏は忘れがちなので鏡で確認すると良い |
| 窓・サッシ | ホコリ・砂・カビ | 割り箸+布(サッシ用)、ガラスクリーナー | サッシの溝は歯ブラシや使い古しの割り箸が使いやすい |
| 床(フローリング) | 皮脂・ホコリ・黒ずみ・ワックス剥がれ | フローリング用洗剤、雑巾 | ワックスがけまでは不要なことが多いが、部分的にワックスが剥げて色ムラになっている箇所は、掃除では直せず経年劣化として扱われることが多い。無理にワックスを重ね塗りせず、立会い時にそのまま見せる方が無難 |
【現場情報が必要:上記の道具・洗剤について、実際にあなたが便利屋の作業で使っていて「これは本当に効果があった」というおすすめの商品名や道具があれば教えてください。一般論ではなく実際に使っているものを入れると説得力が大きく変わります】
用意しておく道具リスト

- ✅ アルカリ性洗剤(ケミクールなど)/中性洗剤/酸性洗剤(クエン酸)
- ✅ メラミンスポンジ、スポンジ、雑巾(複数枚)
- ✅ 歯ブラシ(細部用)
- ✅ ゴム手袋
- ✅ 掃除機
- ✅ カビ取り剤
- ✅ ガラスクリーナー
当時はマジックリンなどで清掃していましたが、酸性の汚れとアルカリ性の汚れの種類が分かるようになりそれぞれに適応する洗剤を使用することにより汚れの落ちるスピードも効果も驚くほど変わってきます。
現場ではこれらをお客様にお伝えする事非常に喜んでいただけてます!
自分でやる場合に失敗しやすいポイント
- 🚫 洗剤を混ぜて使ってしまう(酸性とアルカリ性の混合は危険なガスが発生することがあるため厳禁)
- 🚫 換気扇を無理に分解して元に戻せなくなる
- 🚫 水回りの「見えない部分」(排水口の奥、換気扇の内部など)を省略してしまい、立会い時に指摘される
実際の立会いで見落とされがちなのは、次の4箇所です。
- ⚠️ 窓のサッシ:見た目は目立たないが、溝に溜まった砂やカビは意外とチェックされやすい
- ⚠️ 洗面台の排水周り:排水口の奥のぬめりまで手が回らず、そのまま立会いを迎えてしまうケース
- ⚠️ キッチンの焦げ付き:普通の中性洗剤では落ちきらず、そのまま残ってしまう
- ⚠️ フローリングのワックス剥がれ:掃除では直せない経年劣化なので、無理に手を出さず「これは経年劣化です」と割り切っておくのも一つの考え方
それでも業者に依頼したほうがいいケース
自分で掃除しても、以下のような状態は素人作業では限界があります。
- 🔴 喫煙による壁・天井のヤニ汚れ
- 🔴 ペットによる強いニオイ・傷
- 🔴 エアコン内部のカビ(分解洗浄が必要)
- 🔴 長期間放置されたカビの根
このようなケースは、無理に自分でやるより早い段階で業者に見積もりを取ったほうが、結果的に時間もお金も節約できます。
まとめ
退去前クリーニングは、「上から下へ・奥から手前へ・乾いた汚れから」の原則を守るだけでも仕上がりが変わります。
すべてを完璧にやろうとせず、自分でできる範囲を見極めることが、費用を抑えながら気持ちよく退去するコツです。